マドリッド議定書による国際商標出願(マドプロ出願)について
マドリッド議定書は、自国に提出した商標出願を、他の加盟国に拡大することができる国際条約です。 マドリッド協定議定書に基づく商標の国際登録出願を「マドプロ出願」と呼んでいます。この記事では、マドプロ出願を行う際の費用とメリットとデメリットについて説明します。
マドプロ出願のメリット
1. 費用対効果
マドプロ出願は、複数の国で商標を保護したい企業にとって、費用対効果が高い場合があります。 企業は各国で個々の出願を行う代わりに、単一の出願書を自国に提出し、単一の手数料を支払うだけで手続きが済みます。 これにより、各国の現地弁護士や商標代理人に個々に手続きを依頼する必要がなくなり、出願にかかる費用を抑えることができます。
2. プロセスの合理化
マドプロ出願を行うと、商標の国際登録出願の手続きをスムーズに行うことができます。 マドプロ出願は、世界知的所有権機関 (WIPO) を経由して行われます。出願が受理されると、商標の保護を求める各国の商標庁に、WIPO から出願が転送されます。通常、商標の出願の手続きや要件は国により異なりますが、マドプロ出願ではWIPOにより手続きが一括化されているため、時間と労力を節約することができます。
3. 複数の国での保護
マドプロ出願をすることにより、複数の国において商標を保護することができます。 これは、国際的に事業展開を行う企業や、海外での事業拡大を計画している企業にとって特に有益です。
4. 柔軟性
マドプロ出願では、商標の保護を求める国を柔軟に選択することが可能です。 マドリッド議定書のすべての加盟国において商標の保護を申請することも可能ですし、選択した国のみで商標の保護を申請することもできます。
マドプロ出願のデメリット
1. 出願の初期手数料が高い
マドプロ出願は、弁護士などによる代理申請費用を削減するという点では費用対効果が高いですが、マドプロ出願の初期手数料は、国ごとに出願する費用よりも高くなります。この理由は、世界知的所有権機関 (WIPO) は各国の手数料に加えて、独自の出願手数料を徴収するためです。 各国に直接出願する場合、この手数料は生じません。
2. 複雑なプロセスになる可能性
マドプロ出願では、自国に商標出願をする場合よりも複雑になる場合があります。出願はそれぞれの国の申請要件に従って行う必要があり、現地の弁護士や商標代理人に手続きを依頼する必要が出てくる場合があります。また、通常、出願前に行われる商標調査は、現地の弁護士や商標代理人が関与すれば実施されますが、通常のマドプロ出願においては行われません。
3. 拒絶のリスク
マドプロ出願を行っても、すべての国で商標登録が受理されるとは限りません。ある国で商標が拒否された場合、他の国の商標の保護に影響を与える可能性があります。これは特に、自国の商標出願が却下された場合に当てはまります。その場合、追加料金の支払いと所定の手続きを行う必要があり、この措置が講じられない限り、通常、他のすべての国で出願が却下されることにつながります。このため、マドプロ出願を行う前に、商標が自国で登録可能または登録済みであることを確認しておくことをお勧めします。
結論
マドプロ出願はメリットとデメリットがあるため、出願前によく検討する必要があります。マドプロ出願に伴う費用や他のデメリットと、マドプロ出願から得られる利点を比較検討し、出願前に経験豊富な商標弁護士に相談することをお勧めします。
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